2023年7月9日に閉幕した「G7香川・高松都市大臣会合」では会合の成果として2つの文書が採択された。
(1) 「G7都市大臣会合コミュニケ」
1.「前文」では、G7都市大臣会合の目的と背景を述べた後、関連する国際的な枠組み・合意・宣言を列挙しており、この中にはOECD地域開発政策委員会が取りまとめに当たった「OECD都市政策の原則」が含まれている。新型コロナウィルスの蔓延や気候変動、ロシアのウクライナへの侵攻などの世界的な危機を念頭に、法の支配、民主主義、人権、国際法等共通の価値を再認識し、これらの課題に対処する都市の役割、誰一人取り残すことのない包摂性、ジェンダー平等、国政府の役割と都市空間計画、国際協力、OECDを含む関係機関との連携の重要性を強調した。
2.「ネット・ゼロでレジリエントな都市」では、気候変動が都市とその役割に与える影響について考察し、都市における緑地や水辺空間とインフラ、生物多様性、土地利用と都市構造の再編、モビリティ・ウォーカビリティを重視する交通政策との一体化、エネルギー特に建築物のネット・ゼロ化、より良い復興を可能にするレジリエンスの強化等の提言をおこなった。
3.「インクルーシブな都市の重要性」では、G7諸国の都市圏における急速な高齢化を念頭に誰一人取り残さないインクルーシブな都市の重要性を指摘し、多様な背景を持つ人々にとって魅力的でアクセスしやすい都市、多様性のある地域コミュニティ、都市内・都市間格差是正のための経済成長の重要性を指摘した。
4.「都市におけるデジタル化」では、人間中心の都市に向けたデジタル化、意思決定と参加プロセスのためのデジタル化などその恩恵を予測し、それを実現するためのデータガバナンスとオープンデータ、データベースの共有、デジタル格差への対応等の重要性を強調した。
(2) 「香川・高松原則」
G7都市大臣会合では、さらに上記コミュニケの取組みの指針となる「持続可能な都市の発展に向けた協働に関する香川・高松原則」が採択された。
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原則1 |
持続可能な都市のための先進的なアプローチを開発し実施するため、地方政府を支援し協働する。 |
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原則2 |
都市に係る計画を周知し、解決策を生み出し、市場環境を整備し、持続可能な都市の発展に向けた取組みを統合するために、市民社会、民間セクター、その他の主体の参画を得て協働する。 |
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原則3 |
新興国や開発途上国を含む国際交流の支援を通じて協働する。
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